2回目のミス(塾だより2018年1ー2月号:中3)

昨年末、将棋界で史上初となる永世七冠を達成した棋士の羽生善治竜王に、国民栄誉賞が授与されるというニュースが報じられました。

思い返せば、昨年の前半には、中学生棋士の藤井聡太四段が、新記録となる29連勝を達成したこともありました。2017年は何かと将棋界の話題の多い年でもあり、将棋好きとしてはうれしい限りでした。

私は自分ではあまり将棋を指すことはないのですが、ネットなどでプロ棋士の対局を見ることがあります。棋士同士が互いに極限状態で次の一手を考え、しのぎを削る対局姿には心ひかれるものがあります。

私の好きな棋士の一人に、森内俊之九段という人がいます。羽生竜王と同世代であり、ライバルともいえる存在で、押しも押されもせぬトップ棋士のうちの一人です。

そんな森内九段が著書の中で述べているのが、「2回目のミスが致命傷となる。」という言葉です。

一流のプロ棋士同士の対局では、“一つのミスが命取りになる”とよく言われますが、森内九段は自分の対局を振り返る中で、それとは少し違った考えにたどり着きます。それは、「対局の中でときにミスをしてしまうことはあるが、それが直ちに致命傷になるとは限らない。“ミスをしてしまった”ということに動揺し、続けてミスを重ねてしまうことが敗因となるのだ。だから、そういったときは、冷静になって次の一手を考えることが大切だ。」という考えです。

さすがに一流の人の言葉には含蓄があります。この言葉には将棋だけにとどまらぬ普遍的なものがあると感じます。

もちろんミスをしないことが理想ですが、人間である以上、どうしても失敗してしまうことはあります。そして一度犯してしまった失敗を完全に取り去ることはできません。そのことにいつまでも落ち込んでいたり、下手に取り繕ったりするのではなく、失敗を失敗としてきちんと受け入れたうえで、次の策を考えることが大事なのだろうと思います。

受験においてもこれと同じことがいえるのではないでしょうか。

入試本番を終えた生徒が、「緊張のあまり1時間目の国語の問題が全然頭に入ってこなくて焦った。」とか、「数学で、1つの問題にはまってしまって時間配分を間違えた。」、などと言っているのをよく耳にすることがあります。

千葉県の公立高校入試は1日で5科目を一気に行う過酷なものです。5科目すべてにおいて完璧な答案を仕上げるのは至難の業です。

もしある科目で失敗してしまったとしても、そのことにくよくよしている暇はありません。終わった科目はいったん忘れて、次の科目へと気持ちを切り替えなければいけません。たとえ1つの科目で納得のいく点数が取れなかったとしても、残り科目をしっかりやれば、合格するチャンスは十二分にあるのです。大事なのは2回目のミスをしないこと。

あるいは、もう少し長い期間で考えることもできます。

例えば、「中1・中2のときあまり真面目に勉強をしていなかったので内申点が悪い。」とか、「社会が嫌いで、後回しにしていたので社会だけ点数が取れない。」とか、過去の自分の行動に対して悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

そういった状況でも、“次の失敗をしないこと”を第一に考えて、「じゃあ当日のテストで点数を上げるためにはどうしよう。」とか、「社会の問題集を入試までに仕上げよう。」とか、次の策を考えていけばいいのです。

終わってしまったことはしょうがないと、過去の自分のミスを受け入れるくらいの余裕があった方がいいのかもしれません。

入試本番まであとわずかです。失敗を重ねないことを意識して、この難関を乗り越えましょう。

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