夢を描く(塾だより5-6月号:中学生)

 最近、世の中はメジャーリーガー”Shohei Otani”の話で盛り上がっているようですね。言わずと知れた野球のピッチャーとバッターを両方こなす二刀流の選手で、アメリカでのデビュー戦以来、その両方で大活躍しています。大谷選手のすごさは投打ともに超一流だというところです。自身もメジャーリーガーで大谷選手も尊敬するダルビッシュ有投手が、「投手でならナンバー1になる可能性があるからピッチャーをやるべきだ」と言い、間違いなく史上最高の日本人バッターのひとりであるイチロー選手が「彼ほどのバッターはいない。バッターをやればいいと思う。」と言います。プロ野球選手とか、メジャーリーガーであるだけでもすごいのに、打っても投げてもその両方でトップレベルとは、つくづく神様の不公平を感じてしまいます。
 しかし、ちょっと待って下さい。もちろん才能がなければ話にもならないとは思いますが、それだけではないと思いませんか。まず思いつくのはトレーニングですよね。二刀流をやらなければ、どちらかの練習をしなくてすむので絶対に楽なはずです。自由な時間も増えることでしょう。みなさんが部活と勉強の両立に悩むのと同じです。どちらかにしぼった方が成功する可能性も高くなりそうな気もします。周囲の反対もきっとたくさんあったでしょう。本気でケガなどを心配して二刀流をとめてくる人もいたと思います。上手くいかないときも絶対にあります。そんなとき、大谷選手がどちらかをあきらめ片方だけを選んでも、それで一流の選手になれるのだから、誰も文句は言えません。
 それでも大谷選手が二刀流にこだわるその理由はとても単純なもの=「やりたいから」だったようです。「人とちがうことがやりたい」そして、「世界一の野球選手になりたい」からです。けっして少なくない人たちに「無理だ」「二兎を追う者は一兎をも得ず」「プロ野球をなめるな」などと思われながらもその夢をあきらめず、他人にはできないレベルで努力し続け、見事に世の中の「あたりまえ」を壊してくれました。何よりも自分とその夢を信じ続けた人にしかできないことだと思います。
 大谷選手が所属するエンゼルスの本拠地ロサンゼルスのアナハイムに、世界で最初にできたディズニーランドがあります。その生みの親であるウォルト・ディズニーは、2度自分の会社を潰したあとに作った会社も、人気キャラとスタッフの大半をあのユニーバーサル・ピクチャーに奪われて潰しかけます。そのピンチに生まれたのが、あのミッキーマウスです。そのまだ小さな会社だったディズニーが、巨大なテーマパークを作ることなど、普通に考えれば無理なことです。しかし、当時まだ新しいメディアだったテレビで「ディズニーランド」という番組を流して資金を集めることで、世界初のディズニーランドはアナハイムに誕生します。ウォルト・ディズニーの夢は現実のものとなり、今も世界中で生き続けています。彼はこう言っています。「夢を求め続ける勇気さえあれば、すべての夢は必ず実現できる。いつだって忘れないでほしい。すべて一匹のねずみから始まったということを。」
 すべての夢が実現できるというあたりに、疑いの目を向けてしまうような勇気のない私は置いておき、「大人も子どもも楽しめるテーマパークを作りたい」という壮大な夢が、小さなねずみのスケッチから始まって現実となったことには間違いがありません。ユニバーサルに奪われたオズワルドという名のウサギのキャラクターは、ディズニーに魂を吹き込まれたミッキーマウスには勝てませんでした。私たちの人生に「こうしたい」という魂を吹き込むのは私たち自身です。大谷選手やウォルトのような、自分自身がワクワクできる未来のスケッチを、たまには思い描いてみるのもいいかもしれませんね。

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