心から笑える明日を(中学生:塾だより9-10月号)

心から笑える明日を探しにいこう

 先日、ある子に「ボクなんか生きている価値がない、いなくても同じだ。」と言われました。たいへん衝撃的でした。もしあなただったら、この子にどんな話をするでしょうか。日頃は当たり前のようにも思える「自分は生きていてもいいんだ」という自信を、どうやってわかってもらえばいいのでしょうか。
 自信につながることとして、まずは人に認めてもらうことを思いつきます。人に必要とされていると思えれば、自分の生きている価値を感じることは容易です。8月15日に亡くなった「ちびまる子ちゃん」の作者さくらももこさんは、高校生のとき小論文のテストで採点者に「現代の清少納言だ」とほめられ、初めて自信を持てたといいます。もしこの採点者がいなかったら、「ちびまる子ちゃん」という作品はこの世に生まれていなかったかもしれません。
 自分の自信の基準が、他者にあるというのは面白いところです。しかし、「自分に評価されるようなものが何もなかったら」とか考えると恐ろしくなります。最初にお話ししたあの子にも、評価される機会があまりなかったのかもしれません。他者の評価はいつ当たるとも分からない宝くじのようなものです。さくらさんは非凡な才能を持っていたので、「宝くじ」に当たる確率はもともとかなり高かったと言えます。では、これといって目立つところもない普通の人間は、いったいどうしたらいいのでしょうか。
 いきなりですが、尾畠春夫さんを知っていますか。警察などが最大160人体勢で2日間捜索して見つからなかった2歳の男の子を、自分の捜索開始からなんと30分で発見してしまった、あのスーパーボランティアのおじいちゃんです。「子どもは上に登る」と確信し、予想した足取りをたどっての発見でした。発見後すぐに向かった呉市での復旧作業の合間、インタビューに応えるその笑顔とはっきりした声は、とても78歳とは思えないほど活力に満ちていました。
 尾畠さんは無職です。月約5万5千円の年金で暮らしています。貯金はゼロです。山などでタンポポなどの野草を採って食べるそうです。ボランティア活動中は、パックご飯を温めないで食べ、風呂にも入りません。どうでしょう、何も知らない他人からみたら、「幸せな人」からは程遠く見えるかもしれませんね。しかし、尾畠さんからは確かな自信が感じられます。また生きていることが、とてもとても楽しそうです。
 たぶんそれは自分が必要とされる場所を、何十年もの時間をかけて自分自身の行動で勝ちとってきたからでしょう。そしてその場所で肩肘をはることもなく、「自分がやりたいこと」として活動しつづけているからだと思います。正直、自信があるかないかなど、尾畠さんにとってはどうでも良いことかもしれません。他でもない自分がやるべきと考えることを懸命にやっているとき、自信があるとかないとかを私たちが考えることはないでしょう。
 「君が自分に価値がないと思うのは、このままではいけないと君が考えているということ、つまり君が『成長したい』と思っている証です。実のところ、あなたは何をしなければならないか、もうすでにわかっているのではないかと思います。最初は自信なんかないのが当然だし、なくてもいい。まず動き出してみませんか。動いてみるといろんなことが見えてくるはずです。どうしていいかわからないときや上手くいかないときは、どうか迷わず私たちを頼ってください。君の力になりたいと、私たちはいつでも願っています。」

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