情報の正しさを確かめ、 冷静に判断し行動しよう(中学:塾だより3-4月号)

朝、開店前のドラッグストアに20人程の列ができていました。普段ではまず見られない光景に、どうしたのだろうと思って見ていました。その後、少し目を離した間にその列はなくなりました。そして、いつもなら店先に山積みになっているトイレットペーパーやティッシュペーパーが、きれいさっぱりなくなっていました。翌朝はさらに長い行列になっていました。マスクでも入荷したのかなと思っていたのですが、近くを通りかかった生徒に後で聞いたところ、マスクの入荷はなかったとのこと、恐らくは紙類を求めての行列だったと思われます。

この原稿を書いている3月初旬現在、全国でトイレットペーパーやティッシュペーパーなどの紙類が品薄になっています。始まりはトイレットペーパーでした。ネットで「中国のトイレットペーパー工場が止まったらしい。トイレットペーパーが入手困難になるぞ」「マスクと同じ原料を使っているからトイレットペーパーが品薄になっている」といった噂が流れたのが原因だそうです。それを見た人が、次から次へとまとめ買いに走ったため、品薄になってしまったのです。その後、この流れはティッシュペーパーや他の商品にも及び、さらにはネット上での高額転売が相次ぐなど、混乱が広がっています。

事実はどうなっているのでしょうか。まず、トイレットペーパーの生産場所ですが、日本家庭紙工業会というメーカー団体によれば、2019年の国内出荷分は97.7%が日本製で、原材料調達は中国に依存しておらず、製品在庫も十分にあるとのことです。国や地方公共団体も「品切れになることはない」として、消費者に冷静な行動を呼びかけています。次に原料ですが、家庭用マスクの90%以上が不織布(ふしょくふ)と呼ばれる「織っていない布」でできています。中には紙の原料となるパルプを使用したものも存在するそうですが、大半は化学繊維、つまりは石油が原料です。PP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)で作られているものが多いようです。もし、自宅にマスクの買い置きがあればパッケージを確認してみましょう。原料は紙と同じでしょうか。

最近の紙類の品不足は、ネット上の「事実に反する噂(デマ)」が原因です。では、ドラッグストアに並んでいる人たちはデマだということを知らないのでしょうか。実はそんなことはないようです。デマとは分かっていても、実際に店頭の品物がなくなる様子を見て人々は不安になり、冷静な判断ができなくなっているのです。

日本では、1973年にオイルショック(石油危機)をきっかけにしたトイレットペーパー買い占め騒動が起こりました。また、2011年の東日本大震災の際にも、被災地でない地域で乾電池や紙類、食料品の買い占め問題が発生しました。2020年の現在は、スマートフォンが普及し、ネットやSNSで大量の情報が短時間のうちに出回るようになりました。必要な情報を手軽に素早く手に入れることができる一方、今回のようなデマもものすごい勢いで拡散されてしまいます。この先も、何かをきっかけに大きな混乱が度々起こってしまうかも知れません。

このような時代に重要なのは、情報の正しさを確かめること、そして冷静に判断し行動することです。そのためには、様々な分野に対する知識が欠かせません。知識がなければ、得た情報が正しいかどうか、またその情報に対してどのように行動すべきか判断できません。小中学校で学ぶことは、必要な知識の基礎になっています。もうすぐ新年度が始まりますが、学校や塾で多くのことを学び、しっかり身につけてほしいと思います。そしてもう1つ重要なのは、分からないことがあれば、調べたり人に聞いたりして、自分が納得するまで確かめるということです。特にインターネットやSNS上の情報には十分な注意が必要です。1つの情報だけを鵜呑みにせず、新聞やニュースなどの別のメディアで確かめることが欠かせません。

今年度は千葉県公立高校の入試制度が大きく変わります。まだはっきりしていないことも多いため、入試の仕組みや入試問題について、ネット上でデマが流れることもあるかも知れません。受験生にとって必要な情報は、段階的に教育委員会や中学校から伝えられるはずです。また塾の方でも、最新の情報を複数の方法で集めています。集めた情報をしっかり確かめながら、分かりやすくみなさんに伝えていきます。ですから安心して、学校や塾での学習に取り組んでもらいたいと思います。そして、何か新しい情報に出会った時は、冷静に判断し、行動してもらいたいと思います。これについては、新中3生のみなさん、特にがんばって下さい。

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