「ひま」の過ごし方(小学生:塾だより5-6月号)

私がこの文を書いているのは5月のはじめ。新型(がた)コロナウイルスにより、学校や塾(じゅく)はお休みが続(つづ)いています。子供(ども)たちの声がしない教室で、ただ静(しず)かにこの文を書いているのがさびしくて仕方ありません。子どもたちの元気な声が聞こえる日々が早くもどってきてくれることを願(ねが)っています。
 さて、みなさんもお家にいる時間がだんだんと長くなってきて、やることが無(な)くなってきたのではないでしょうか。しかし、こんなときだからこそ、お家で、しかもひとりで、無限(むげん)にできる「勉強」なんでどうですか? お家でできる最高に楽しい活動といえば、やっぱり「勉強」ですよね!!・・・なんて言ってしまうと「また塾の先生はそうやって勉強ばっかり・・・」と言われてしまいそうです。
 そこで、こういう時だからこそ「勉強」それから「学校」について考えてみましょう。英語を習っている人は知っているかもしれませんが、「学校」を英語で言うと「school(スクール)」と言います。schoolは昔のギリシャ語の「scholē(スコレー)」から来ていると言われています。意味は「余暇(よか)(仕事のあいだのひまな時間のこと)」「討論(とうろん)(ある問題について話し合うこと)」、つまり討論などに使うひまな時間や自由な時間がscholēです。私も授業(じゅぎょう)で「学校のもともとの意味は『ひま』なんだよ」と話したことがありますが、「学校に通っていたらひまなわけないじゃん!」と小学生のみなさんから大ブーイングでした。
しかしどうでしょう。この3月、4月、5月と学校に行けない日々が続いて、みなさんの考え方も変わったのではないでしょうか。そろそろ学校にいきたい、またみんなといっしょに勉強したい、という思いが強くなってきてはいませんか。
「ひま」な時間こそ、勉強するチャンスなのだと私は思います。学校の宿題や塾の宿題、計算ドリルや漢字ドリル、それらをがんばってやるのはもちろんすばらしい勉強です。しかし、schoolのもとになったギリシャ語からもわかる通り、「ひまな時間・自由な時間」にやる、もっと自由なものも「勉強」と呼んでいいと思います。勉強はもっと自由で良いのです。こん虫や海の生き物について図かんで調べる、好きな作者の本を一気に読んでみる、栄養(えいよう)のバランスを考えて料理(りょうり)を作ってみる・・・など、楽しい勉強があってもいいと私は思います。こんなときだからこそ、学校や塾の勉強はもちろん、さらに自分の好(す)きなことを思いっきり勉強してみませんか。
 こんなにえらそうなことを書いている私が、勉強の本当の面白(おもしろ)さに気づいたのは大学に入ってからかもしれません。大学では学校が決めた時間割はありません。「うちの大学ではこんな授業をやっています」というぶあつい本(「シラバス」といいます)をわたされて、そこから自分の好きな授業をえらんで、自分の時間割を作っていきます。私はことばの勉強をするのが好きだったので、英語、スペイン語、それから日本語学(日本語についてくわしく学ぶ)、あるいは歴史(れきし)の本でしか使われないラテン語なんかも勉強しました。毎日が新しい発見の連続(れんぞく)でした。好きなことは勉強していて面白いのです。
 自由な時間が多いときだからこそ、「やりたい勉強」も思いっきりやってみませんか。世の中は勉強であふれています。「なぜ電話は遠くの人とお話ができるんだろう?」そういったことを調べてみるのも勉強です。そういった「勉強」はいずれ「研究」となって、いつか世の中に無いものを生み出したり、だれも知らないことを発見したり、だれかの命を助けることになったりするかもしれません。
家での時間が長いこんなときだからこそ、「ひま」な時間がたくさんあるこんなときだからこそ、学校で、塾で、家で、いろいろなことに目を向けて、たくさん勉強しましょう。大昔のギリシャ人もびっくりするくらいに。

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