中学生:もしも

もしも生まれ変わったら(塾だより5ー6月号)

 

人間、いろんな場面でやりなおしたいことはたくさんあります。かつて新しいクラスになったとき自己紹介に失敗し、不本意なあだ名をつけられた経験のある自分などは、そんなところからでもやりなおせたらと、この歳になっても思います。友だちとのケンカや、テストの結果、好きな人に告白をするかしないかなど、人生に後悔はつきものです。最近のニュースを見ていると、偉い政治家の方々の中にもえらく悔やんでいる先生が複数いらっしゃるようです。自分が助けるべきたくさんの大切な人たちを、つい出た本音で傷つけてしまうような性格は、それこそ生まれ変わりでもしないと直らないのかもしれません。

 

先日、フィギュアスケートの浅田真央選手が引退しましたね。その引退会見を見ていて、私は彼女のある言葉にとても驚かされました。彼女は「もう一度生まれ変わったら、フィギュアスケートはやらない。」と言ったのです!その同じ口で「スケートは大好き」だとか、「スケートは私の人生です」とか言っているのにです。しかも、浅田選手は世界選手権で3回、グランプリファイナルで4回も優勝する実力がありながら、オリンピックで金メダルをとっていません。もう一度、人生をやり直せるなら、今度こそ金メダルを絶対にとってやる、と普通の人だったら思わないでしょうか。いや、浅田選手本人こそ、引退を決めた今でさえ、絶対に金メダルがほしいに決まっています。

 

浅田選手が6位に終わったソチオリンピックのあと、引退するか悩んだことについて、ウダウダ言っている人がいるらしいですが、彼女にとってあれからの3年間がどんな意味を持っていたのか、私は会見を聞いて腑に落ちました。あえて雑にまとめると浅田選手は、「やれるのにやらないのはイヤだった」のです。まだ自分にできることがあるのに、それをしないのは、浅田真央の生き方ではないと考えたのだと思います。そして、その最終的な結果が全日本選手権12位だったとしても、彼女はアスリートとしてやるべきことをすべてやりきったと思えたのでしょう。金メダルをとるためにそのときそのときで、できることをすべてやってきた、そのことに一片の疑いもない。だから、もう一度生まれ変わったとしても、現役のスケート選手としてこれ以上やれることはもうない、という思いです。

 

生まれ変われるかどうかを私たちは知ることはできません。我々が知っているのは、最期のときが訪れるその瞬間まで、私たちは自分の人生を生きることができるということです。そしてその最期の一瞬は、私たちが生きているこの一瞬とつながっています。もしも生まれ変わっても、もうやらなくても良いと思えるぐらいに全力でやっていることが、あなたにはありますか。そして、生きて今あるこの貴重な時間を費やす価値が、そこにはありますか。そんな大切なものが、もし今はなかったとしても、今日からそれを見つけていける、学びにはそんな可能性があると私は思います。

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