中学生:はじまり

『あめつちの初めは今日より始まる』 by 北畠親房(塾だより3-4月号)

 

新年度のスタートです。新しい学年のはじまりだからこそ、今、話しておきたいことがあります。少しだけ私の話につきあってもらえないでしょうか。

 

先日、公立高校入試の合格発表がありました。その日の朝、私は電車に乗って自分の教室に向かっていました。となりの席に中学校の制服をきた女の子が一人で座っています。その子はスマホの画面をしばらく見ているようでしたが、何やら様子がおかしいことに気づきました。鼻をすする音があまりに続くので、あやしい人と思われないように軽く横目で見ると、大粒の涙がスマホの画面に落ちていくところでした。そのあと、私が自分の駅で降りるまで、その子はずっと泣き続けたままでした。うれし涙ではないかとちょっと期待もしましたが、その表情からは喜びのかけらも読みとれませんでした。初めて見るまったく知らない子でしたが、希望の高校に不合格になったことが想像できました。

 

みなさんは行きたい高校に合格するために、これから準備をしていきます。定期テストの成績を上げることも目標にはなりますが、中学生がこの塾で学ぶことの最終的なゴールは高校入試での合格です。今からそのゴールで不合格になることはあまり想像したくないですね。毎年、千葉進研に通う生徒の公立高校合格率は非常に高く、たぶん県内でもトップレベルにあります。ですから不合格になる人は多くはありません。しかし、実際にはゼロというわけでもなく、私の受けもっていた生徒も3人が不合格になってしまいました。

 

私は先ほどの女の子の涙を見て、「この子の人生は、今日からはじまるのだな」と思いました。精一杯がんばって入試の壁に弾き返されたその日から、あの子はまたきっとがんばれる。不合格という事実であれだけ悔しがれるのです。あの子があのまま終われるはずがありません。72年前、戦争に負けて焼け野原になった日本が、再び立ち上がったように、6年前、津波に巻き込まれた町々が、悲しみとがれきの中から再び歩き出したように、スケールは違うけど、あの子もきっとまたがんばれる。そう信じたいです。

 

ものごとをはじめるのには、悲しみが必要な訳ではありません。もしも今、学習が上手くいっていない人がいるのなら、今日をはじまりにしませんか。勉強がイヤだと思っている人がいるとしたら、今日から少しずつでもやることを増やしてみませんか。それは成績を上げたり、高校に合格したりする、それだけのためではありません。受験勉強という試練の中で、あなたがあなたの人生を思いきり生きるためです。精一杯に生きることができる生き方は、幸せな人生だと私は思います。

 

入試でも落ちるよりも合格した方が幸せなのは間違いありません。だから、勝負の前にできる準備はすべてやりましょう。地震の被害を最小限にとどめる準備が震災の前におこなわれなければならないように、戦争が起こらないための努力は平和なときにこそなされなければならないように、今日から準備をはじめるのです。あなたが今日、学びはじめたことが将来、大きな災害を防いだり、世界平和につながったりしないとどうして言えるでしょうか。どんなに大きな仕事でも、必ず最初の一歩があります。そんな価値ある一歩を踏み出すのは、できるだけ早いほうが良いはずです。だから、今日をそのはじまりにしませんか。

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