暗記を楽しもう(小学生:塾だより1-2月号)
みなさんは暗記が得意ですか。胸を張って「得意です」と答えられる人は、そう多くないかもしれません。自分なりにがんばっているのに、自分より多くのことをあっというまに覚えてしまうお友達がいる……そんなふうに感じて、がっかりした経験のある人はいないでしょうか。私もまさにその一人でした。暗記が得意な人は、どうして暗記が得意なのでしょう。「頭の出来がちがうからだ!」などという後ろ向きな考えはいったん捨てて、少し考えてみませんか。
私も学生のころは暗記が苦手で、理科や社会にはさんざんなやまされてきました。特に社会は興味が持てず、覚えようとしても一向に頭に入ってきません。あるとき、困った私は、かたっぱしから社会の得意な友人をつかまえ、どうやって覚えているのかとたずねてまわりました。ある友人は目をかがやかせ、「好きだから自然に覚えちゃう」と言いました。これはダメですね。参考になりません。なにしろ興味を持てなくて困っているのです。また別の友人に聞くと、「あの手この手でどうにか覚える」と答えました。社会が好きなのかと聞くと、「別に好きじゃない」と言います。私はさっそくその子の前にテキストを広げ、「これはどうやって覚えたの?」「これは?」「こっちは?」と一つ一つ質問しました。すると、本当に「あの手この手で」「どうにか」覚えていることがわかりました。
「暗記が得意な人」というのは、「覚えるための方法をたくさん知っている人」なのかもしれません。あなたはふだん、どんなふうに暗記をしますか。良いとされる方法をざっと挙げると、以下の七つほどでしょうか。
- 声に出す(口と耳を使う)
- 紙に書く(手を動かす)
- 調べ学習(「文字情報」を「経験」にする)
- くりかえす(復習のタイミングを工夫する)
- 理くつや背景を理解する
- ゴロ合わせ・かえ歌
- こじつけ
「私は全て①!」「ぼくはいつも⑥!」という人は少ないかもしれませんね。暗記が得意な人ほど、たくさんの方法を利用して覚えているのではないでしょうか。
英単語一つ覚えるにしても、色々な方法があるはずです。①、②、④あたりが一般的な方法でしょうが、中には⑤や⑥、⑦などを利用できるものもあるでしょう。
⑤「afternoon」は、「after」(後)+「noon」(正午)が合わさって「午後」
⑥「take」(持っていく)と「bring」(持ってくる)は混同しやすいけれど、
「take」は「持っテイク」
⑦「walk」(歩く)と「work」(働く)は混同しやすいけれど、
「walk」をよく見るとa(あ)l(る)k(く)と書いてある
⑦「cup」(カップ)と「cap」(帽子)は混同しやすいけれど……
また、同じこじつけでも個人的におすすめしたいのが、最後の例のような、「絵を使って覚える」という方法です。人間の脳は、文字情報よりも画像や映像による情報のほうが記おくに残りやすいと言われています。文字だけでは覚えられないものは、絵にしてみるというのも一つの方法です。社会などは特に有効かもしれません。少々時間はかかりますが、時間をかけて考えて書くことで、記おくには残ります。
たとえば宮崎県。「ピーマンやきゅうりなどの促成栽培」「ぶたや肉用若鶏などの畜産」がさかんです。あなたならこの情報、どうやって覚えますか。①~⑦の方法で覚えられるならそれで良いですが、苦労するようであれば、こんなのはいかがでしょう。(下図(A))
それから福井県。若狭湾の「リアス海岸」「原子力発電」、「鯖江のめがねわく」や「越前和紙」、フクイリュウも有名ですね。(下図(B))
学年が上がるにつれて、覚えなくてはならないことがどんどん増えていきます。覚えにくそうなものに出会ったとき、「いやだなあ」と思うのではなく、「さて、どうやって覚えてやろうか」と楽しめるようになると、もっとすてきですね。あなたなりの方法を見つけて、「暗記が得意な人」になりましょう。良い覚え方を思いついたときはもちろんですが、覚えた知識が活かせたときは、本当に気持ちが良いですよ。(福田先生)
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