字は体を表す?(小学生:塾だより7-8月号)

「口」という漢字を書いて下さい。

 突然とつぜんですが、今からあなたの性格診断せいかくしんだんをしてみようと思います。
 いつも書いているように、「口」という漢字を書いて下さい。

 

……書けましたか?

 

では、診断しましょう。

ポイントは、左上と右上の2つの角、つまり1画目と2画目に書き方にあります。あなたの「口」は、次の①~④のうち、どれにあてはまりますか。

① 左上の角がくっついていて、右上の角がとがっている
② 左上の角がくっついていて、右上の角が丸まっている
③ 左上の角がはなれていて、右上の角がとがっている
④ 左上の角がはなれていて、右上の角が丸まっている

①のような「口」を書く人は、教わったとおりの書き方を守る、几帳面きちょうめんでルールに忠実ちゅうじつな、まじめなタイプが多いそうです。

 

②のような「口」を書く人は、自分の意志いしがはっきりしていて、ややわがままな面もあるようですが、大胆だいたんなことができるタイプだそうです。


③のような「口」を書く人は、考え方はさばけていてこだわりませんが、行動は慎重しんちょうで、はめをはずさないタイプが多いようです。


④のような「口」を書く人は、細かいことにこだわらず、ものごとの変化へんか要領ようりょうよく対応たいおうすることのできるタイプだそうです。

筆跡から書き手の性格をする学問を研究

 この性格診断は、「日本筆跡ひっせき心理学協会きょうかい」という団体だんたいによるものです。
この団体は、「筆跡心理学」という、筆跡から書き手の性格を解明かいめいする学問を研究しているそうです。
ふだん何の気なしに書いている文字が、性格の診断に使われているなんて、ちょっとおどろきですよね。

 

 筆跡による性格診断がどれほど信頼しんらいできるものかはわかりません。
しかし、筆跡心理学を学んでいる人でなくても、「字で人を判断はんだんする」ということは、多くの人が日常的にちじょうてきに行っていることではないかと思います。
「自分は字なんかで人を判断しない!」と思う人もいるかもしれませんね。

でも、本当にそうでしょうか。

「字はたいを表す」

 たとえば、はじめて会った人が、あなたの目の前で、とても美しい文字を書いたとします。

その人がどんな人なのか全く知らなくても、その文字を見ただけで、「しっかりしていそうだな」「頭がよさそうだな」などと、無意識むいしきのうちに想像そうぞうをふくらませてしまうことはありませんか。

日本には、書道や習字という文化が根づいており、文字の美しさに価値かちを見いだす人が大勢おおぜいいます。

そういった環境かんきょうで生活しているわけですから、当然とうぜんといえば当然のことです。

 つまりうらを返せば、乱雑らんざつな字を書く人は、それだけで「いいかげんな人なのかな」と思われてしまう可能性かのうせいがあるということです。
あなたはふだん、どんな気持ちで文字を書いていますか。

「読めればいい」などと考えて、他の人には暗号にしか見えないような、きたない文字を書いてはいませんか。だとしたら、それはとても危険きけんなことです。

あなたが何気なにげなく書いたフニャフニャの文字を見て、だれかが内心、「こんなフニャフニャの字を書くなんて……きっと中身もフニャフニャで、根性こんじょうのない人なのだろう」なんて思っているかもしれません。

 

「本気出せばきれいに書けるもん」というわけをよく耳にしますが、文字を書きなぐるクセがついてしまうと、いつのまにか、そういう文字しか書けなくなってしまいますよ!

 「名はたいを表す」という言葉は、みなさんも聞いたことがあるでしょう。

これは、「名前はその物や人の性質せいしつ・実体をよく表すものだ」という意味の、昔からあることわざですが、近頃ちかごろでは「字は体を表す」という言葉も定着しつつあるようです。

 

「あなたの書く文字は、あなたの性格をよく表していますね」と言われたら、あなたはどう感じるでしょう。

「いやだな」と思いますか?

それとも、「そうでしょう!」とむねれますか?

自分の文字に自信じしんを持てるよう、日頃ひごろから美しい文字を書くことを心がけたいですね。