勉強の質を見直そう(小学生:塾だより9-10月号)

 夏休みも終わり、一年のうちの半分が終わろうとしています。みなさん今年の前半戦(せん)はどうでしたか? 勉強は思い通りに進みましたか? テストで満足(まんぞく)できる点数がとれましたか?「うまくいったよ!」という子は、この調子で後半戦もがんばりましょう。反対に

「ちょっと、いまいちだった…。」という子は、この機会(きかい)に勉強のやり方をふり返ってみましょう。もちろん「一日5分やるだけで、たちまち天才に!」なんていう魔法(まほう)みたいな勉強のやり方はありません。やはりどれだけ努力(どりょく)したかで最終的(さいしゅうてき)な結果(けっか)は決まってきます。ただし「じゃあ、とにかくたくさんやればいいのか」と言ったらそれもちがいます。「何も考えずに、バットを1000回振りました!」で野球は上達(じょうたつ)しないですよね。勉強もそれと同じです。量(りょう)も質もどちらも重要(じゅうよう)なのです。特(とく)に一生けんめい勉強したつもりなんだけど、なかなか成績(せいせき)が上がらないっていう子は、やり方を見直してみるといいかもしれません。今日はそのためのヒントをいくつかしょうかいしたいと思います。ぜひ、保護者(ほごしゃ)の方もいっしょになって、ふだんの勉強のやり方を見つめ直してください。

・練習の基本(きほん)は手を動かすことだけど…

 漢字の練習や理社の用語を覚(おぼ)えるには、まずは手を動かして書いてみること。できればいっしょに口で読みながらやりましょう。ただし、同じ漢字を連続(れんぞく)して書いていませんか? そのやり方で確認(かくにん)できるのは「ほんとうに覚えているか?」ではなく「数秒前に書いた漢字をもう一度書けるか?」になってしまいます。ちゃんと覚えてなくても書けてしまうんですね。例(たと)えば5回練習するとしたら、最初の3回は連続で書いて覚える練習。残りの2回は覚えているかテスト形式でチェックするみたいな練習メニューに変えてみると、どの漢字を覚えていて、どの漢字を忘(わす)れているかが見つけやすくなるでしょう。それで覚えてないものだけ重点的(てき)に練習すればいいのです。

・「今度は気を付(つ)けます」は何の役にも立たない

 算数をやってて、計算ミスをしてしまった。本当は分かっていたのに…。っていうことありますよね。見直しをして「今度は気を付けよう」と思ったそこのあなた! それだけじゃ何の解決(かいけつ)にもなりません。そもそも「テレビを見ながら問題をやっていて、全然(ぜんぜん)集中できていなかった」とかだったら、「次はテレビを消して集中しようね。」って話になりますが、ふつうにやっていてまちがった場合は、そこそこ集中はできているわけです。ですので、この場合は何かやり方を変(か)えないと良(よ)くなりません。まずは途中(とちゅう)式を見て、「どこでまちがっているかを確認(かくにん)する」こと。途中式を書かないでまちがうような子は、いくら練習しても上達しません。必(かなら)ず途中式を書きましょう。そしてまちがわないようにするにはどうしたらいいか、具体的な改善(かいぜん)案(あん)が必要(ひつよう)になります。暗算でやってまちがった場合は、「ここはまちがいやすいところだから、しっかり途中式を書くようにする」とか、数字を見まちがってミスした場合は、「広いスペースで計算する」などの計算が見やすくなるような工夫(くふう)が必要になります。そうやって試行(しこう)錯誤(さくご)をくり返して、だんだんと上達していくものです。

・まちがい直しが7割

 たくさん練習するのも重要ですが、「まちがい直しがしっかりできているか」はもっと重要です。問題をやることに重点を置(お)いていて、丸付け・まちがい直しは問題が終わった後の「おまけ」のように考えている生徒も多いです。しかし、さっきもお話した通り、まちがった問題をできるようにならなければ上達したことにはなりません。まちがった問題の横に、赤ペンで正しい答えを書いて終わりというような悪い習慣(しゅうかん)がついてしまうと危険(きけん)です。本人はサボっているつもりがなくても、いくらやっても全然力にならないですし、分からない問題を先生に質問するという習慣もつきません。初(はじ)めのうちは問題の量(りょう)はあまりこだわらずに、しっかりお子さんといっしょに「正しい丸付け」をすることが重要です。保護者の方が答えを持って、合っているかどうかを教えてあげる。まちがっている場合は、どこをまちがっているか自分で探(さが)すようにする。分からない問題は答えではなくヒントを出して考えさせる。どうしてもだめなら答えを説明(せつめい)してあげるといいでしょう。

 このように勉強をきちんとやるように教えるのは、なかなか根気がいる作業です。しかし小学生の時に身に付けた勉強の姿勢(しせい)が、その後のすべての勉強の基本(きほん)になります。小学生のうちに正しいやり方を身に付けることができれば、中学・高校になってもそれが当たり前になり、そのままうまくいくケースが多いです。逆(ぎゃく)にこの時期をのがすと大変(たいへん)です。子どもが反抗(はんこう)期に入ると、親がどんなに正しいことを言っても、なかなか受け入れてくれないものです。「鉄は熱(あつ)いうちに打て」ということわざがありますが、勉強のやり方においては、今がまさに熱い時期だということです。暑い夏はそろそろ終わりが見えてきましたが、勉強が熱い時期はまだまだこれから。勉学の秋に親子でいっしょに取り組んでみてはいかがでしょうか。