これからの時期におすすめすること(中1・2生:塾だより11-12月号)

 これを読んでいる中学生のみんなは、後期中間試験の真っ最中か終わった直後だと思います。中学3年生は学校で三者面談があり、どの私立高校を受けるかが決まるころです。入試対策も本格的に始まっていき、闘志に燃えていると思います。

 しかし、中学1・2年生は次の模試が1月、後期期末試験も2月と、次の試験までに間があります。こうした時期に何をすればいいのか、書いていきたいと思います。

(1)おさらいで実力を磨く

テストがない時期こそ、自分で目標を決めて勉強しないといけません。目標としてまず設定できるのが、今の学年で学んだことを完璧にするということです。特に数学と英語は前にやったことがわかっていないと次の内容が理解できないということがよくある科目です。優先的にやりましょう。せっかく手元に新演習や必修テキストがあるのです。有効活用してください。

数学は、中1は方程式と比例、中2は一次関数と図形に強くなってください。来年度学習する内容に直接つながっています。

英語は文法事項では、学年を問わず、be動詞と一般動詞の区別が最重要です。

“You are Taro.” (be動詞の文)

“You speak Japanese.” (一般動詞の文)

これらの文を否定文、疑問文にできるかというところから、全てが始まります。こう言われたら、

“You aren’t Taro.”とか”Are you Taro?”

“You don’t speak Japanese.” “Do you speak Japanese?”

とできるのですが、他の単元と組み合わせた途端にできなくなる中学生は少なくないです。

文法を理解するだけでなく、単語を書けるようにするのも大切です。千葉県の県立高校入試は、難しい単語や文を書かせる問題が他県よりも多いです。教科書や新演習で書けない単語がないように練習しましょう。

また、中1・中2共に冬期講習の社会の1回目(歴史)が、かなりの難所です。中1は1000年前~500年前の中世ヨーロッパ、中2は第一次世界大戦を学びます。海外の話なので、とっつきにくいです。世界のどこに何という国があるかわかっていると、授業が断然わかりやすくなります。

これらの国の場所が分かりますか? わからなければ、地図帳でチェックしましょう。

イギリス フランス ドイツ イタリア スペイン ポルトガル オーストリア セルビア トルコ

ブラジル アルゼンチン

(2)英検を目指す

英語の勉強をするときに、良い目標になるのが英検です。しかし、英検は文や単語が書けなくても受かってしまいます。英検3級や準2級では作文がありますが、大体型が決まっています。

英検を利用して英語の勉強をしましょう。大問1の4つの選択肢の単語が書けるようになると良い感じです。

(3)本を読む

読書はあなたを文章に慣れさせ、知識を与えてくれます。面白そうな本、興味のある分野の本をドシドシ読みましょう。

背伸びして難しそうな本を読んでみるのも面白いです。内容がよくわからなくて5ページ読んで投げ出すこともあるかもしれませんが、それもまた経験です。

 近代日本で最も有名な文豪と言えば夏目漱石です。漱石を読んでみようという中学生はたくさんいるようです。漱石チャレンジャーは『吾輩は猫である』を最初に手に取りがちですが、この小説は意外な鬼門です。あれを本で一気に読もうとするのは、サザエさんを5時間見続けるようなものです。サザエさんは30分だから楽しいのです。

 漱石は『坊ちゃん』が比較的とっつきやすいですが、なにせ110年前の愛媛の中学校の話です。当時の常識などがわからなくて困ることがあるかもしれません。登場人物が当たり前のように知っていることが読者にはわからないというのは、昔の小説を読むときにストレスになります。(ちなみに私は漱石では『行人』が好きです。)

 面白いと思えない作品を無理に読み続ける必要はありません。私達は明治・大正の読者と同じように夏目漱石の小説を楽しむことは絶対にできません。昭和の読者と同じように、太宰治や三島由紀夫の小説を楽しむこともできません。

 ただ、一度読んでみてつまらないと感じた作品を、何年かしてもう一度読んでみたら意外と面白かったりすることはあります。年を取ると、良くも悪くも感じ方が変わることがあります。

○おすすめの小説

『はてしない物語』(ミヒャエル・エンデ) 固さ:☆

異世界転移ファンタジーの名作。何度読んでも新しい発見がある。別世界を冒険したい人に。

『ある日、爆弾がおちてきて』(古橋秀之)固さ:☆

 時間を題材にしたSF短編集。現実と少し違う世界を楽しみたい人に。

『立華高校マーチングバンドにようこそ』(武田綾乃)固さ:☆☆

アニメ化された小説の外伝作品。人の心をもっと知りたい人に。

『楽園とは探偵の不在なり』(斜線堂有紀)固さ:☆☆

 「2人殺すと地獄に引きずりこまれる」という設定の推理モノ。パズルも人間模様も楽しめる。

『動物農場』(ジョージ・オーウェル)固さ:☆☆

革命家が独裁者になるまでをユーモラスに描いた風刺小説。短くて読みやすい。

『三国志』(吉川英治、三田村信行、渡辺仙州など)固さ:☆☆☆

一度は読んでほしい、英雄たちの栄枯盛衰。何百年も愛されてきた物語は伊達じゃない。

『彼岸花が咲く島』(李琴峰)固さ:☆☆☆☆

芥川賞受賞作。未来の東アジアの島国が舞台。日本語とは何か考えるきっかけに。