案ずるより産むが易し (中学生:塾だより3-4月号)

 いよいよ受験ですね。“受験勉強”という言葉を聞いたとき、どんなことを思い浮かべるでしょうか? 「きつそう」とか「大変そう」といったネガティブなイメージを抱く人が多いのではないでしょうか。

 嫌なことは後回しにしてしまいがちです。「受験本番はまだ1年先だし、4月になって新学期が始まってから始めればいいや。」とか、「部活引退してからがんばろう。」などと、何かと口実を作って後回しにしてしまいたくなります。

 でも中1・中2の定期テスト勉強のことをちょっと思い返してみてください。テスト直前になって「もっと早めに勉強を始めておけばよかった。」とか、「あとワークもう一周やっておくべきだった。」などと後悔したことは、誰しも1度はあるのではないでしょうか。

 受験でもそれとまったく同じことが起こります。しかも定期テストより範囲がずっと広いわけですから、後悔の度合いもそれに比例して大きくなります。

 一方でこんな経験もあるのではないでしょうか。それは定期テスト前、「いま一つ気分が乗らなかったけど、先生や親に言われて仕方なしに勉強を始めてみたら、思いのほか集中できて長く続いた。」という経験です。


 “作業興奮”という言葉があります。これは「やる気がなくても、作業をし始めると意欲や集中力が自然とわいてくる。」という心理現象を表します。この作業興奮を上手く利用すれば、やる気が出てくるのを待っている必要もありませんし、やる気スイッチを押してもらうのを誰かに頼る必要もありません。自分自身でやる気を引き起こせるのです。日本のことわざでも、「案ずるより産むが易し」という言葉がありますよね。あれこれと考えるよりも、実際にやってみると案外うまくいくことが多いのです。

 一つ注意点としては、作業興奮といえども、やり始めた瞬間にやる気が湧き上がってくるわけではなく、ある程度時間がたってからやる気が出てくる、ということです。いくら勉強を始めても興奮する前に止めてしまっては元も子もありません。ですから、最初は難易度が低めの簡単な勉強や自分の得意科目からやり始める、ということをおすすめします。しばらくたって、やる気が出てきたら、少しずつ難しいこと、面倒くさいことに移っていけばいいのです。


 受験本番まであと1年ありますが、気づけばあっという間です。少しでも早くスタートを切って、ライバルたちに差をつけましょう。


(平野先生)