準備することの大切さ(中学生:塾だより5-6月号)

 第5回WBC(World Baseball Classic)が、2023年3月7日~21日の期間に行われました。本来であれば、2021年に開催予定でしたが、COVID-19の影響により2023年に延期となっていたのでした。MLB(Major League Baseball)ロサンゼルス・エンゼルスに在籍している大谷翔平選手をはじめとする日本人メジャーリーガーが多数参加することもあり、日本国内ではかなりの盛り上がりを見せていたと思います。大会の結果は、ご存じの通り日本の優勝で終わったわけですが、アメリカとの決勝戦の最後の最後で、日本とアメリカそれぞれの中心選手かつレギュラーシーズンではチームメイト同士の大谷選手とマイク・トラウト選手が対戦したことは大変劇的な展開だったと思います。そして、大会MVPには大谷選手が選ばれました。今回の侍ジャパンはまさに大谷選手のチームでした。そんな大谷選手は、報道によると2026年に開催予定の次回大会への出場にも意欲を示しているそうです。誰が監督を務めるのかも含めて、次回大会で2回目の連覇を達成できるかが注目されます。


 さて、WBCは2006年に第1回大会、2009年に第2回大会が開催されました。知っている人も多いと思いますが、実はこの2回は日本が連覇しているのです。これらの大会では、当時MLBのシアトル・マリナーズに在籍していたイチローさんが中心選手でした。イチローさんは1994年にNPB(日本プロ野球)で初めてシーズン200安打を達成した後、2001年シーズンよりMLBに移籍しました。そこから10年連続シーズン200安打を達成するなど、2019年に45歳で引退するまで28年間に渡って活躍を続けました。


 イチローさんの実績については広く知られており、そこについては多くは語りません。世界最高峰のMLBで長く活躍を続けられた理由について、イチローさんは様々なインタビューなどで「完璧な準備」があったと言います。この準備はもちろん野球に対してのものですが、その姿勢には私たちの日々の取り組みにも生かせる点が多くあると思います。学校でも新年度が始まり、新たな目標に向けて取り組みを始めたみなさんに2つ紹介したいと思います。(以下『イチロー流 準備の極意』(児玉光雄著)より、「 」内はイチローさんの発言です。)


 結果は本番前に決まっている


 「ハイレベルのスピードでプレイするために、ぼくは絶えず体と心の準備はしています。自分にとっていちばん大切なことは、試合前に完璧な準備をすることです。」


 人生を左右する高校入試に向けての準備は当然として、そこに至るまでに数多く行われる学校の定期試験、塾の模試、さらには日常的に行われる小テストや漢字テスト、単語テストなど、あらゆるレベルの本番に対して完璧な準備をすることを意識することが重要であると思います。小テストや漢字テスト、単語テストであれば満点にこだわる、定期試験や模試であれば出題の範囲や傾向を研究して、考えられる準備をすべて行うことが大切です。こうしたことの積み重ねが高校入試の結果に結びつきます。

既に日常的なテストは数多く行われていると思いますが、どのような姿勢で取り組んでいるでしょうか。結果は本番前に決まります。完璧な準備を心がけて日々取り組んでほしいと思います。


 準備とは言い訳を排除すること


 「ようするに“準備”というのは、言い訳の材料となり得るものを排除していく、そのために考え得るすべてのことをこなしていく、ということですね。」


 先程の内容とも重なりますが、考え得るすべてのことをこなしていくというのは勉強にも通ずる部分だと思います。まもなく、各中学校で前期中間試験が行われます。その結果について、終わった後に言い訳する必要がないよう、考え得るすべての準備をこなしていきましょう。具体的にすべきことは先生方が示してくれるはずです。


 イチローさんは、ルーティンを徹底していたことでも知られています。毎日毎晩、翌日に向けて定めた準備を繰り返し実行していたそうです。これを私たちに当てはめると、規則正しい生活習慣や日々の学習習慣ということになると思いますが、言うまでもなくこれらも重要なものです。紙面の都合もありますので詳しくは述べませんが、新年度が始まって1か月ほど経過した今だからこそ、自分の日常を振り返ってみましょう。もし、生活習慣や学習習慣が乱れているようなら、意識して修正しましょう。


 投打の二刀流としてMLBで活躍を続ける大谷選手も、かつてのイチロー選手と同様に、相当なこだわりを持って入念な準備を続けているそうです。2026年の第6回WBCで、イチローさんのように再び日本を連覇に導けるでしょうか。注目していきたいと思います。