「苦手教科」について(中1中2:塾だより9-10月号)

「英語は苦手だから…」とか「数学は算数の頃から無理」といった言葉をよく聞きます。

多くの人が1つや2つ「苦手教科」を持っています。「苦手教科を克服する」というのはよく勉強テーマにあげられます。実際に苦手な教科を何とかしようとして勉強した経験はあるでしょうか。実際にそうした試みをしてうまくいった経験がある人はよいのですが、うまくいかないという人も多いのではないかと思います。克服といっても苦手意識が完全になくならない場合もあるかもしれません。好き嫌いであるとか興味のあるなしも影響があって、好き嫌いや興味は個人の性格や性質、経験と結びついています。

人との会話や好きなスポーツ、音楽、テレビや本やゲームや漫画などなど、洋楽が好きだとか、歴史小説が好きだとか、普段から「関連する知識を自然と身につける機会」があって下地ができていれば、勉強していることも抵抗なく受け入れられるかもしれません。それが勉強の際の効率の差になり、同じような努力でも「できる」・「できない」の違いがでてくることになります。つまり、教科やテーマが違えば「覚える」・「できるようになる」までに必要な労力や時間はさまざまに変わるということですから、「英語はぱっと覚えられるのに社会はなかなか覚えられない」といったことが起こるわけです。そこで「できる教科」を基準にして勉強を組み立てると、「できない教科」はおなじように頑張っているのに結果が出ない! 苦手だ! となってしまうのです。

ですから、そもそも「どれくらいの時間や労力をかけなければならないか」は違って当たり前という前提に立って勉強すべきです。苦手な教科というのは、できないからやらない→もっとできなくなる→もっとやらなくなる、という負の循環になりがちです。苦手教科はたいてい勉強不足に端を発するか、もしくはとどめを刺されています。そうではなくて、「できないからやる」必要があるのです。しかも苦手になっているということはそれなりの期間・範囲でできない内容があるということですから、取り返すには時間がかかります。

…とはいえそれは大変苦しいです。つらい道のりです。だからとにかく基本的なことだけ確実に身につけるのを目標にするとか、少しだけハードルを下げながらも苦手教科とうまく付き合っていくことを心がけてみましょう。どうすればがんばれるのか、続けられそうなのか、考えて工夫してみましょう。塾の先生も相談に乗ります。継続することを大切にしましょう。少しずつでもできることを増やしていきましょう。「できるようになること」は苦手意識や勉強をさけてしまう気持ちを薄くしてくれる効果があります。できるようになることが一番勉強に前向きにしてくれます。苦労はあります。しかし苦労があるから、「できるようになる」ことが輝くのだと思います。