「もしも」に備えて(中学生:塾だより11-12月号)

10月中旬、NTTドコモで全国規模の通信障害が発生し、翌朝まで通話や通信が利用しづらい状況となりました。私自身もドコモ回線を利用したMVNOサービスを利用していたため、この影響を受け、夕方から3時間ほどスマホがまともに使えなくなりました。この時ちょうど外出先だったのですが、まさか通信障害だとは思わず、スマホが故障したのだと勘違いして、慌ててあれこれ試したことを覚えています。

今回の通信障害で、私自身はそれほど困ることはありませんでしたが、仕事で活用されている方、一刻を争うような事情を抱えた方にはとんでもない事態だったことでしょう。私もスマホが使えない状況で、何か急な連絡があったらと思い不安になりました。数時間後に通信が回復してその不安は杞憂に終わったわけですが、ホッとすると共に、スマホが使えることをはじめとして、いつでも通信ができるという当たり前の日常に、自分がいかに依存していたかを思い知らされることになりました。

ひと昔前はスマホがなかった、なんなら携帯電話すらなかったのが当たり前で、外出先の通信手段と言えば公衆電話でした。それが今や、日常生活のあらゆることがスマホと共にあり、通信できることが前提となっています。今回は長くても1日程度で障害は解消したようですが、さらに大規模な通信障害であれば、間違いなく社会や人々の生活に大きな影響が出ていたことでしょう。知識の面でも意識の面でも備えが必要だと痛感しました。

日頃当たり前のように存在しているものは、「もしもそれがなくなったら…」ということをなかなか考えることができません。今回はそれが通信環境だったわけですが、考えてみると他にもたくさんあると思います。家族、自宅、学校、塾、先生、友人…といくらでも出てくるのではないでしょうか。

みなさんのほとんどは、これらが揃っていることと思います。それが当たり前の日常になっているはずです。しかし、広い社会を見渡せば、そうなっていない人もいるのです。そして、災害などでいつ自分が当たり前の日常を失うか分かりません。

こうしたことは、考えればきりがなく、考えるほどに不安が募りがちです。四六時中心配する必要はないと思いますが、時々でいいので「もしも」のときのことは考えておきたいところです。そして、考えるためには正しい知識や思考力が必要です。日頃の塾や学校での学習の中で、その基礎を培ってほしいと思います。

話が大きくなりすぎていますが、みなさんにとっての身近な「もしも」は何でしょうか。

中3生であれば、間近に迫った高校入試の中に多くの「もしも」があると思われます。受験校決定、出願手続き、入試当日、…と多くの場面で思わぬトラブルが考えられると思います。常に最悪の事態を想定し、あらゆる可能性を考えて準備を進めてほしいと思います。

中1・2生は英検への挑戦など、今できることをどんどん進めてほしいと思います。英検への挑戦や、苦手教科の勉強など、もしも今できることを後回しにしたらどうなるか考えてみましょう。また逆に、もしも今すぐ取り組んだらどうでしょうか。考えてみると、これからやるべきことが見えてくるのではないでしょうか。

もうすぐ2022年になります。もしも今、来年に向けてやるべきことを一生懸命考え、それを実行していけば、新年はよりよい1年になるはずです。